2009-10年度RI第2630地区ガバナー

岩本 忠

 

1.新年度の挨拶

iwamoto.jpg ロータリーの新年度は、7月から始まります。これは米国の年度区切りの習慣によるものですが、米国独立の日(7月4日)に関係しているのでありましょうか。これに合わせて世界のロータリーは、一斉にその人的体制と会計年度を刷新します。

 年々歳々人同じからず。ロータリーは毎年人心を一新して、担当者を替えてゆきます。これほどの団体でありながら、確実に担当者交代制度を実行するのは立派です。人事の淀みがないように工夫されています。それでいて、私たちの基本理念は変わるところなくロータリーの輪は引き継がれてゆきます。これはロータリーの美徳の一つであると思います。

 この度、当地区のガバナーを拝命し、一年の間、80クラブの皆さんの町を訪れて、仲間の輪が順調に廻っているのを見せていただく役目を担当することになりました。そのためには準備と勉強が必要になります。昨年の夏より関係の先輩諸氏に経験談を伺い、その準備態勢を進め、11月からこの4月までは毎月一度、本格的に各種の研修セミナーを催して参りました。

 これより皆さんと共に、ロータリーの原点と理念を追究し、親睦と奉仕の理想を実践して、より良き社会の実現を目指したいと思います。


 

2.ロータリーの原点:親睦と職業奉仕

 ご承知の通り、ロータリーは今から104年ほど前に、シカゴで始まりました。信頼できる仲間たちの親睦交流から始まり、相互の便宜供与をもとに、利便とゆとりをもって社会に奉仕貢献するという仕組みができました。人々は、その仕組みに共感し、その社会貢献と道徳性に敬意を抱き、それに惹かれて仲間の輪がひろがってゆきました。

その基本理念のひとつが、各自が職業を通じて社会に貢献するということでありました。仲間の中にあって「確かな自分」を確立し、得意の分野で、即ち、自分の職業でもって世のためになるように心がけるのです。「I Serve」を標榜するのはこの意味でありました。

 「職業を通じて世のために」ということは、100年余の歴史をもつ広域団体では特異なモットーであります。この一世紀の歴史を通じて、私たちは新会員の入会に際し、「職種」を主要な選考基準としてきました。ここにロータリーの原点の一つを見ることができます。職業奉仕は私たちの誇るべき伝統であります。


 

3.仲間から組織へ

 1905年2月23日にシカゴで、弁護士ポール・ハリスたち4名(Gustavus LOEHR, Silvester SCHIELE, Hiram SHOREY, Paul P. HARRIS)が集まりましたときは、一つの仲間の会でありました。それが10年のうちにサンフランシスコ、ニューヨーク、ウイニペグ・カナダへとクラブ網が広がり、1925年には200クラブ(2万人以上)になり、世界的に名声が高まることになりました。

このような規模になると、一つの組織としての対応が必要になってきます。時代の趨勢や社会情勢が大きく作用してきます。その為の方策も必要となります。

まずは、会員に共通する理念として倫理規範が求められます。1932年ハーバード・テイラーは「四つのテスト」を提唱しました。

1.真実かどうか。              Is it the truth?

2.みんなに公平か。      Is it fair to all concerned?

3.好意と友情を深めるか。        Will it build goodwill and better friendship?

4.みんなの為になるかどうか。Will it be beneficial to all concerned?

これは、私たちの日々の根本的な反省項目であり、いくつもの言語に訳されて、今も歌い継がれています。

 終戦直後1945年にロータリーのメンバーたちは国連の再開設立に尽力し、各国のクラブから代表やオブザーバーを送り、支援をしました。日本のクラブが戦後ロータリーに復帰するころには、このように積極的に対外的な働きかけをしている時代でした。また今日、ポリオで縁のあるWHO(世界保健機構)とは、設立時から深い関係でつながっているのです。

 さて、現在は世界の会員数が120万を超えるまでになっています。各地域では様々な活動が行われ、当然、そこには地域差が生じてきます。ロータリーが一つの組織としてその体制と理念を維持してゆくには、組織全体の共通規約という大きな柱と、個々の地域・地区・クラブに応じた規則が必要になってきます。これが定款と細則になります。


4.時代と社会への適応と研修

 法的な取り決めは、その基本的な部分は不動不変であるとしても、その細部や運用部分においては時とともに考え直すことがあります。その昔、ギリシャの哲学者ソクラテスは「悪法もまた法なり」と言ったそうです。そして「しかし、その法が悪法とわかれば、改変するべし」と付言したのです。人はこの前半部分のみをよく引用しますが、それは悪法によって相手に何かを科する意図があってそう言うのです。私たちはその後段についても考察を巡らせる心的態度が欲しいものです。

 規則は次々と改変が迫られます。そのためには、何が問題点なのか、何をどのように変えるのかを、新しく知る必要がでてきます。そのために、地区は研修委員会を設置し、研修セミナーを催し、常にその改変状況に応じる体制を整えています。お互いに、情報欠落にならないように努めましょう。


 

5.ロータリーの基本は「優しいこころ」

 ロータリーがこのように発展してきたのには様々な要因があります。社会貢献の実績と行動力の蓄積により社会的に信用を得たのも一つ、その仲間になることへの心理的充足感もありましょう。しかし、ロータリーをそのように進めてきた駆流の原動力は、「社会性の自覚」、「他者への配慮」であったと思います。一言で言えば「やさしさ」です。


 

6.未来への志向

 私たちは、これほど組織的に完備した団体を先輩たちから引き継いできました。その「組織」と「こころ」を世の動きに合わせて対応進化させてゆく務めがあります。この組織と仲間の心をもって、良い世の中の実現を希求しましょう。私たちの未来展望を可能とするその未来設計の基本図は、私たちの「こころ」にあるのです。