【2010年3月】 「識字率向上 」
2009-10年度RI第2630地区
ガバナー 岩本 忠
3月は識字推進の月間です。人類は青銅期になって文字を持つようになりました。文字資料による記録伝承を「歴史」といい、文字が無く出土品などの物的資料から推測して時代光景を考察することを「考古学」といいます。中国の甲骨文字、メソポタミアの楔形文字、エジプトの聖刻文字などは実に古い時代に発明された人類文化財だといえます。
識字とは、「母語における日常生活の読み書き」をいい、「文字を読み書きできない非識字(illiteracy) と読み書きを流暢にできる段階 (full fluency) の間に、初歩的な読み書きはできても、読み書きを社会参加のために満足に使いこなせない段階が存在する」[Wikidedia]のだそうです。その段階を数値化して表示するのを識字率といいます。
識字率は、「15歳以上の人口に対する文字認識の割合」をいい、全世界の識字率は、「約75%」(Wiki…)だそうです。Wikipediaに見られる或る調査によれば、識字率95%以上の国は次の11ケ国だそうです。先進国にはその男女差はあまり有りません: 日本 99.8%(男性99.9%、女性99.7%); エストニア 99.8%(男性99.8%、女性99.8%); アメリカ合衆国 99.7% ; ロシア 99.6%; カザフスタン 99.5%; タジキスタン 99.5%; キルギス 98.7%; ウルグアイ 97.5%; イスラエル 97.1%; キューバ 97%; キプロス 96.8% 。
これに対して、低識字率の国は、ニジェール 17%(男性25%、女性9%); アフガニスタン 36.3%(男性51.0%、女性20.84%); パキスタン 41.5%(男性53.4%、女性28.5%); バングラデシュ 41.1%(男性50.3%、女性31.1%) と続きます。
また人口や国土の多大な国では、男女の差が大きく開いています。中華人民共和国 90.9%(男性95.1%、女性86.5%); インド 58.0%(男性69.0%、女性46.4%); インドネシア 87.9%(男性92.5%、女性83.4%); サウジアラビア 79.4%(男性87.1%、女性69.3%); ブラジル 86.4%(男性86.2%、女性86.5%) 。
しかしこの数値は、私のささやかな海外経験からみても、かなりの違和感があります。普通に話をしていても、名前や住所が書けない人たちは随分と多くありました。これはその国の民度あるいは文化度を反映する様におもわれます。国家としての文化的努力が為されていないのでしょう。入植流入者が多くて教育が追いつかない事もありましょう。文明大国アメリカでさえ大統領選挙には文字記入ではなくパンチで穴を開ける方式をとっています。フランスに帰化したアルメニア人たちは、同朋と商取引をして日曜日にはアルメニア教会(キリスト教の一派)に通います。独自の長い歴史と伝統を持った彼らは誇り高く、人数も相当数あり、フランス語を話す必要はなく、フランス社会には進出できないでいるのです。戦後ドイツに移入したトルコ人も同様でした。アルファベットは文字数が少ないですがその綴字法は複雑です。無理して憶える必要が無い生活をしているのです。
しかし、国によっては事情が違います。文字知識をもたねば、社会的地位も生活にも事欠く不利不便を強いられるのです。
文字を持つ国もたぬ国 日本は借字改良の国です。漢字を借用して、その意味をもって発音は漢字の「音」(漢音と呉音あり)と和語の「訓」とを使い分け、それに平安時代に漢字の画の一部を用いた「カタカナ」と漢字の崩し書体をもちいた「ひらがな」とを「発音表記文字」として使うようになりました。
モンゴルは、インド文字(ハロシティ文字)を縦書きにした独自の文字を作り、知識階級のみならず初等教育においても用いていたのが、ソ連(ロシア)の支配を受けてロシア文字(キリール文字)に切り替わりました。朝鮮・韓国は15世紀に考案された独自のハングル文字をつかいます。これは表音文字であり、借入語や同音(異義)語の多いこの国の言語の特性を表わしています。実際は世界には、独自の文字を持たない国(言語)のほうが遙かに多いのです。
文字の普及度は社会教育・学校教育の問題 文字の普及すなわち識字の問題は、文化文明の進展と関係が深く、旧来の風習や政治的要因が大きく影響しています。地域によっては女性に教育をうけさせない外出させないなど様々な基本的権利を奪う社会体制が続いてきました。
これに対して、我が日本は、外来文化を尊ぶ性向があり、文字もその一つで、文字を知っていることは有識者であるとされました。大寺院のみならず寺子屋などでも庶民にも読み書きを教える私設教育機関が数多く存在しました。その歴史的基盤により明治以降は国民教育が完備され、今日、世界最高の識字率が実現したのでしょう。
身近な識字教育需要 ところが現実に我が国内にも、漢字のみならず平仮名・片仮名さえも読めない人たちが相当数いるのです。京都の夜間中学校ではそのような人たちを対象にした文字指導のクラスがあるそうです。私の教え子(学生)がそれを担当していて、時々その様子を報告してくれます。地元伊勢の国際交流協会も永年、「日本語教育講座」を開設しています。
私たちは、このような国内外の識字実態を知り、これに対して私たちがロータリー活動として、何ができるかを考えてみたいと思います。

識字率の分布図 (Wikipediaより)










【2010年3月】 「識字率向上 」 
